Libraリザーブ

リザーブ

本書は、(1) リザーブの目的、(2) リザーブの成り立ち、(3) 各参加者とリザーブとの関わり、(4) リザーブの経時的変化、の各パートで構成されます。

リザーブの目的

今日の暗号通貨の多く (ビットコイン、イーサなど) には基盤となって支える資産がありません。その 結果、主なユースケースは投機と投資になっています。価値が大幅に上昇する可能性があるため、多 くの人が後で価値が上がることを期待してそれらのコインを購入しているのです。これらの通貨の長 期的価値やそのネットワークに対する信用と同様に、その価格も変動し、時として大幅な価値の揺れ を生み出します。

Libra は幅広く利用されることを目指しており、利用者にとって価値が比較的安定した通貨にな るよう設計されています。例えばヨーロッパの消費者は、今日のコーヒー代のユーロと明日のコーヒ ー代のユーロとがほぼ同じであると確信を持てます。同様に、Libra 保有者も Libra の価値が相対的 に安定し、時間の経過によって大きく変動しないことを確信できます。

リザーブは価値保全を達成するための鍵となるメカニズムです。流動的で安定した一連の資産 (後述) による各コインの十分な裏付けと、両替その他の流動性プロバイダーの競争力あるグループと の連携により、いつ、どの Libra コインでもリザーブと同じまたは近似した価値で売却できると確信 できます。これにより、コインは発行されたその日から価値を持ち、他の暗号通貨の投機的な揺れか ら守られるようになります。リザーブの仕組みとシステム内のさまざまなアクターについてはこのセ クションで後述しますが、まずは、そもそもなぜリザーブが (安定性と価値保全をサポートするため
に) 作られたのかを強調することが重要です。

リザーブの成り立ち

このセクションは複数のパートに分かれています。まず、リザーブの資金源はどこにあるか、次に、リ
ザーブはどこで保持されているか、その後に、リザーブの実際の資産について説明します。

リザーブの資金源リザーブの資金源は 2 つあります。それぞれの投資トークンの投資家と、Libra ユーザーです。協会は創立者へのインセンティブを Libra コインで支払い、ユーザー、販売者、開発 者による採用を促します。インセンティブとして配られるコインの資金源は投資家私募です。ユーザ ー側では、新しい Libra コインの作成のために、法定通貨と等価の Libra を購入してその法定通貨を リザーブに移行する必要があります。したがって、リザーブは Libra に対するユーザーの需要が高ま るにつれて増大します。つまり、投資家とユーザーのいずれの側でも、Libra の作成を増やす方法はた だ一つ、法定通貨による Libra 購入を増やしてリザーブを増大させることです。

リザーブの投資方法 Libra のユーザーはリザーブからの利益を受け取りません。リザーブは低リ スク資産に投資され、時間をかけて利子を生み出します。この利子による収入はまず、Libra エコシス テムの拡大と発展のための投資、NGO への助成、エンジニアリング調査への資金提供などといった 協会の運営費用のサポートに利用されます。それが充足された後の利益は、初期投資家に当初の出資 に対する配当を Libra 投資トークンで支払うために活用されます。リザーブ資産は低リスクで低利回 りなので、初期投資家への利益が具体化するのは、ネットワークが成功し、リザーブの規模が大幅に 拡大した場合に限られます。

リザーブの保持方法カウンターパーティーリスクを抑えるために、リザーブは信用格付けで投資 適格として認められた証券保管機関で構成され地理的に分散されたネットワークに保管されます。証 券保管機関の選定と配置においては、リザーブの資産に対する保護措置、高度な監査可能性と透明性、 集中型リザーブのリスクの防止、運営効率の達成が主要なパラメーターとなります。

各 Libra コインを裏付ける実際の資産実際の資産は、安定していて信用のある中央銀行が発行 する通貨や公債など、価値の変動率の低い資産の組み合わせになります。Libra の価値は実質的に法 定通貨のバスケットに結び付けられるため、どの特定の通貨の観点からも、Libra の価値は変動しま す。リザーブの構成は、特にネガティブな変動 (経済危機など) が起こる可能性と、それらの重大な事 態の影響を軽減するように設計されています。その目的を達成するため、前述のバスケットは資本保 全と流動性を念頭に置いて構成されています。資本保全での観点では、高インフレになる可能性が低 く、債務不履行に陥る確率が低い政府が発行する公債にのみ投資します。また、そうした事態が発生 する可能性をさらに低減するために、1 つではなく複数の政府を選択することでリザーブを多様化し ています。流動性の観点では、前述のような政府が発行し、流動性の高い市場で取引される短期公債 を利用する計画です。流動性の高い市場とは、1 日に数百億から数千億にまで及ぶ取引量を日々扱っ ている市場です。これにより、流通する Libra 数の拡大や縮小に応じてリザーブの規模を簡単に調整 できるようになります。

各参加者とリザーブとの関わり

ユーザーがリザーブに直接対面することはありません。効率を高めるために、協会に認定された再販 業者のみが大量の法定通貨と Libra をリザーブに出し入れできます。認定再販業者はユーザーを相手 に暗号通貨を売買する取引所やその他の機関と統合しますので、現金から Libra への交換や Libra か ら現金への交換を希望するユーザーはそのような機関を利用することで、Libra をいつでも交換でき ます。

協会は通貨ポリシーを規定しません。コインの発行と焼却は認定再販業者からの需要に応じての み行います。協会がインフレを引き起こしたり、通貨の価値を下げたりすることについて、ユーザー が懸念する必要はありません。コインが新たに発行されるには、発行されるコインと等価の支払いが 再販業者からリザーブに対して行われる必要があります。協会と再販業者の取引の結果、需要が拡大 したときには新しいコインが自動で発行され、需要が縮小したときにはコインが自動で焼却されます。 リザーブが積極的に運用されることはありませんので、Libra の価値の上昇や下落は通貨取引市場の 動向の結果でしかありません。

協会は世界中にある規制された電子取引所への Libra の上場を促進します。こうした両替所では、 ユーザーは Libra の売買にウェブポータルとモバイルアプリの両方を利用できます。ユーザーが法定 通貨と Libra をできるだけ簡単に交換できるように、主な暗号通貨交換業者や金融機関が認定再販業 者として継続して取引することについても話し合いが行われています。

金融における消費者保護と法執行機関

金融サービスや金融商品の消費者は弱い立場にあります。Libra エコシステムでは強力な消費者 保護をお約束します。また、消費者保護を管轄する規制当局は、管轄内で提供されるサービスを構築 するプロバイダーに関与することを望むことでしょう。Libra ネットワークの開発初期段階では、創 立者は規制当局と協力して、技術革新を促進しつつ高水準の消費者保護を維持する規制環境作りに取 り組みます。

他の通貨やファイナンシャルエコシステムと同様に、悪質行為者が Libra ネットワークを不正に 利用しようとするでしょう。ネットワークはオープンで、インターネットアクセスがあれば誰でもア クセスできます。しかし、取引所やウォレットなどの形をとるネットワークのメインのエンドポイン トは、適用される法令や規制に従い、法執行機関と協力する必要があります。他の多くのブロックチ ェーンと同様に、Libra ブロックチェーンの取引レジャーは第三者が分析して不正を検出して罰則を 科すことができるように公開されています。

リザーブの経時的変化

リザーブの裏付けは時間が経過しても十分に維持されます。つまり、競争力が働く取引所市場があれ ば、ユーザーは今日にも明日にも未来にも、保有する Libra コインを裏付けリザーブの時価に近い交 換比率で売却して法定通貨に変えられると確信できます。協会は、バスケット内の資産に関連する地 域で発生した経済危機に対処するときなど、市況の大きな変化に応じてバスケットの構成を変えるこ とがありますが、価値の保全を常に目指します。また、こうした変更には例外的対応と協会評議会に よる圧倒的多数の票が必要になるものと見込まれます。

重要な点として、リザーブの規模は利用者が Libra 内で保持する残高の規模によって決まります。 したがって、他の一部の暗号通貨とは異なり、外部要因によって供給が制限されることはありません。 これには、Libra エコシステムを需要に応じて拡大または縮小できるという重要な役割があります。ま た「銀行取り付け」も阻止されます。コインが部分的にしか裏付けられておらずユーザーが我先にそ の価値を確保しようとすることが、取り付けの背後にある典型的な理由であるからです。コインが完 全に裏付けられていて、競争力が働く取引所エコシステムがあれば、コインの流通量や Libra を売却 したユーザーの数に関係なく、Libra の時価に近い交換比率でコインを法定通貨に戻すことができま す。リザーブの時価はユーザーが Libra を売却して手に入れる法定通貨の価値によっていつも支えら れるということです。

私たちの目標は、Libra が既存通貨と共存することです。Libra はグローバルなものであるため、 協会独自の通貨ポリシーを策定するのではなく、バスケットに含まれる通貨を発行する中央銀行のポ リシーを継承することとしました。先述のとおり、リザーブと対面する仕組みによって、このアプロ ーチはカレンシーボード (香港のものなど) における運営方法に非常に似たものとなっています。中央 銀行が独自の判断で貨幣を発行できるのに対し、カレンシーボードでは一般的に、新規発行する貨幣 を十分裏付けるのに足りる外貨資産がある場合にのみローカル通貨を発行します。このようなシステ ムを導入する主な 2 つの理由は、変動性の低さに基づいて基盤となる資産を選択することによる安定 性と、将来の不正使用 (裏付けのない追加のコイン発行など) からの保護です。

プロジェクトの主な目的は、開始当初から便利で使いやすい国際的な交換媒体となる、変動性の 低い暗号通貨へのアクセスを数十億人に提供し、マイクロペイメントなど新たなデジタルネイティブ のユースケースをサポートすることです。Libra リザーブは、価値保全、信頼構築、そしてユーザー と販売者と開発者がネットワークにもたらすリソースの保護においてきわめて重要な役割を果たして います。Libra ネットワークを非許可型に徐々に移行するにつれて (非許可型への移行をお読みくださ い)、協会は地理的な分散をさらに進める方法や、リザーブが経済危機から回復する力を高める方法、 ユーザーのために安定性と価値保全を確保する手段を改善するための方法を探求します。

協会では創立者と共にこれらの目標に向けて取り組んでおり、研究者や Libra コミュニティから のフィードバックやアイデアをお待ちしています。

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