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ホワイトペーパー v2.0 作成者: Libra協会メンバー

カバーレター

読者への注意事項: Libra協会のホワイトペーパー第1号は、2019年6月に発行されました。2020年4月発行の新しいホワイトペーパーでは、Libra協会の計画についての最新情報をご紹介します。さらに、2019年6月発行の技術ペーパーの中にも、編集が加えられたものや廃止されたものがあります。 本ドキュメントは、原文である英語版から翻訳されました。原文である英語版の資料を正確に翻訳して提供するよう努めておりますが、外国語の翻訳におけるニュアンスの問題により、微妙な差異が生じる場合があります。この翻訳版と英語版の内容またはこの翻訳版と別の言語の翻訳版の内容に相違がある場合には、原文である英語版を優先します。

Libra協会のミッションは、多くの人びとに力を与える、シンプルでグローバルな決済システムと金融インフラを実現することです。より包括的で画期的な金融システムの構築に向けたLibra協会の歩みは、2019年6月のプロジェクトの発表から始まりました。当初のLibra協会の目標は、協力的な対話を確立することでした。世界中の規制団体や中央銀行、選出議員、さまざまな関係者と協力し、受け入れられている規制の枠組みにブロックチェーンをどのように組み合わせるかを検討しました。Libra協会の目的は、Libra決済システムを地域の金融政策やマクロプルーデンス政策にスムーズに統合し、新たな機能の実現、コストの大幅削減、ファイナンシャルインクルージョンの促進によって既存の通貨を補完することです。

Libra協会は、当初のアプローチに変更を加えていますが、その多くは、他のブロックチェーンプロジェクトのアプローチと異なります。Libra協会の目標は、他のシステムを模倣することではなく、協会のメンバーによる分散型ガバナンスと分散型テクノロジーを用いた画期的なアプローチを通じて、オープンで信頼性の高いシステムを構築することです。私たちは、従来の金融システムをプログラミング可能で相互運用可能な、アップグレード可能なものにするという困難な作業に取り組み、私たちの努力が、革新的であると同時にポリシーに準拠した、誰もが利用できる安全な金融アプリケーションの構築に役立つことを望んでいます。私たちは、世界中の政策立案者と話し合い、主な懸案の理解を助けてもらったことに感謝しています。これにより、Libra決済システムの設計と段階的展開プランに実用的な改善を組み込むことができました。

この最新のホワイトペーパーは、2019年6月以降にLibra決済システムの設計において行ってきた重要な作業の概要を紹介します。特筆すべきなのは、規制に関する懸念に対処した4つの変更点です。それぞれの点をここで簡単に紹介し、更新されたホワイトペーパーで詳細に説明します。

  1. マルチ通貨ステーブルコインに加え、単一通貨ステーブルコインを提供する。
  2. 堅牢なコンプライアンスの枠組みによってLibra決済システムの安全性を強化する。
  3. 非許可型システムへの将来の移行を見合わせ、同時にその主な経済的属性は維持する。
  4. Libraリザーブの設計に強固な保護機能を組み込む。

マルチ通貨ステーブルコインに加え、単一通貨ステーブルコインを提供する

私たちのビジョンは、Libraネットワークを、法定通貨を補完するものにすることであり、両者を競合させることではありません。しかし、ネットワークの規模が大きくなり、国内での決済の多くがマルチ通貨のLibraコイン(≋LBR)で行われるようになった場合、Libraコインが貨幣の主権性や貨幣政策に干渉することになるのではないか、という重要な懸念も寄せられています。この懸念に対処するため、私たちは、≋LBRに加えて単一通貨ステーブルコインを導入することにしました。提案の≋LBRバスケットに含まれる通貨(LibraUSDまたは≋USD、LibraEURまたは≋EUR、LibraGBPまたは≋GBP、 LibraSGDまたは≋SGD)の一部から始める予定です。これにより、Libraネットワーク上の単一通貨ステーブルコインと同じ通貨を使用している地域では、消費者や事業者が法定通貨と同じ通貨のステーブルコインを利用できるようになります。単一通貨ステーブルコインは、現金または現金等価物、および同じ通貨の超短期国債が形成するLibraリザーブによって、完全に価値が裏付けられます。私たちは、世界中の規制団体や中央銀行、金融機関と協力し、Libraネットワークで利用できる単一通貨ステーブルコインの種類を増やしていきたいと考えています。≋LBRは、単一通貨ステーブルコインと切り離された資産ではありません。この変更により、≋LBRは、Libraネットワークで使用できるいくつかの単一通貨ステーブルコインを単にデジタル合成したものとなり、その価値は国際通貨基金(IMF)が管理する特別引出権(SDR)のように、固定名目ウェートを使って定義されます。≋LBRは、効率的なグローバル決済コインとして使えるだけでなく、単一通貨ステーブルコインが提供されていない国の消費者や事業者にとっては、低変動の通貨オプションにもなります。このアプローチには、ネットワークが国内においてより広範囲な使用事例をサポートできるというメリットや、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入時に統合をシームレスに進めるための明確な道筋を示せるというメリットがあります。詳しくは、こちらを参照してください。

堅牢なコンプライアンスの枠組みによってLibra決済システムの安全性を強化する

Libra協会の目標は、適用法および規制に準拠した上で開放性とファイナンシャルインクルージョンの実現を支援することです。安全措置が組み込まれているため、個人や事業者は、Libra決済システムのセキュリティと保全性を信頼することができます。Libra協会は、規制団体からのフィードバックを取り入れ、金融コンプライアンスとネットワーク全体のリスク管理に向けた包括的なフレームワークの開発、さらにはマネーロンダリング対策、テロ資金供与防止対策、経済制裁コンプライアンス、不法行為防止のための強固な標準の開発に取り組んでいます。これには、ネットワークの参加者のために運用標準のサポートと維持を支援する金融情報部門(FIU)を設置することも含まれます。Libraネットワークには、次の4種類の参加者がいます。(i) 指定ディーラー、(ii) 金融活動作業部会(FATF)の管轄区域において登録または認可されている仮想資産サービスプロバイダー(両替やカストディアルウォレットを含む「VASP」)、またはFATFの管轄区域において登録または認可され、その認可または登録の下でVASP活動の実施を許可されているVASP(規制VASP)、(iii) Libra協会によって承認された認定プロセスを完了したVASP(認定VASP)、(iv) Libraネットワークを通じて取引すること、またはサービスを提供することを希望している個人や団体(アンホステッドウォレット)。アンホステッドウォレットは、ファイナンシャルインクルージョンや幅広い競争、責任あるイノベーションを実現し、十分な銀行サービスを受けられない人たちに向けたサービスの創造を促進します。その活動は、リスクがやや大きい可能性があるため、残高や取引に制限が課されます。当初、Libraネットワークにアクセスできるのは指定ディーラーと規制VASPのみですが、Libra協会は、規制団体からのフィードバックに従って他のVASP向けの認定プロセスと、アンホステッドウォレットのためのコンプライアンスフレームワークの開発を続けます。コンプライアンスフレームワークが完成した時点で、認定VASPとアンホステッドウォレットもネットワークを利用できるようになります。詳しくは、こちらを参照してください。

非許可型システムへの将来の移行を見合わせ、同時にその主な経済的属性は維持する

規制団体から、Libraネットワークの制御範囲についてもっともな問題提起がなされました。それは、未知の参加者にシステムを制御されないよう、また、主要なコンプライアンス条項が削除されないように保護機能を準備する必要があるというものです。私たちの考えでは、オープンで透明性の高い競争市場を介したネットワークサービスとガバナンスなら、非許可型システムの経済的属性を再現することは可能であり、同時に許可型システムに備わるメンバーやバリデータの堅牢なデューデリジェンスを組み込むことが可能です。詳しくは、こちらを参照してください。

Libraリザーブの設計に強固な保護を組み込む

極端な状況が発生した際の対処方法については、規制団体と建設的な話し合いを行ってきました。具体的には、負荷のかかった状況でLibraリザーブがどう機能するか、Libraコインの所有者のためにどのような権利と保護が用意されているか、です。私たちは、Libraリザーブの設計と構造に、他のシステムのアプローチを土台とした戦略を取り入れました。Libraリザーブは、満期が非常に短い、信用リスクの低い、流動性の高い資産を保有します。また、資本バッファーも維持します。詳しくは、こちらを参照してください。

この最新のLibraホワイトペーパーでは、Libra決済システムの背後にあるミッションとメカニズムを紹介し、重要な分野についてより詳しく解説します。私たちは、このドキュメントが、グローバル決済の効率改善とファイナンシャルインクルージョンの拡大を共通の目標とする、広範な官民連携への門戸を開いてくれることを望みます。

セクション 01

はじめに

インターネットの登場とモバイルブロードバンド接続の普及により、世界中の多くの人びとがあらゆる知識や情報にアクセスし、高品質な通信を利用し、安価で便利な多種多様のサービスを享受できるようになりました。$40程度のスマートフォンがあれば、これらのサービスに世界中のほぼどこからでもアクセスできます。1

接続性がこれだけ高まりながら、取り残されている人の割合は低くありません。世界中で17億人の成人が従来の銀行を利用できず、金融システムの外にいます。10億人が携帯電話を持ち、約5億人がインターネットにアクセスできるにもかかわらずです2。多くの人びとにとって、金融システムを構成しているサービスは、まるでインターネット以前の通信ネットワークのように感じられます。20年前、ヨーロッパでテキストメッセージを送信する場合の平均価格は1件あたり16セントでした。3安くはありませんが、誰にとっても価格は同じでした。今日では、貧しい人ほど金融サービスを受けるのにより多くのお金を払っているのが現状です。一生懸命働いて得た収入は送金や借越やATMの手数料に消えていきます。

ブロックチェーンは、アクセシビリティや信頼性の問題に対処する力を秘めたユニークな特性を多数備えています。その中でも、分散型ガバナンスはひとつの機関がネットワークを制御できないようにし、オープン型アクセスはインターネットに接続している人なら誰でも参加できるようにし、暗号化によるセキュリティは資金の保全性を保ちます。しかし、既存のブロックチェーンシステムはまだ主流として受け入れられていません。既存のブロックチェーンベースの通貨は、価格の乱高下やスケーラビリティの欠如が妨げになり、現在のところ交換媒体として円滑に機能せず、市場での利用が広まっていません。

私たちは、ブロックチェーンによる技術的なイノベーションの最良の面(分散型ガバナンス、オープンアクセス、セキュリティ)に堅牢なコンプライアンスと規制上のフレームワークを組み合わせることは可能だと考えています。Libraのプロトコルレベルで特定のコンプライアンス要件を確立すれば、不法行為防止、マネーロンダリング対策(AML)、テロ資金供与防止(CFT)、経済制裁コンプライアンスといったプログラムの効果が改善できるはずです。Libraネットワークに組み込まれたコンプライアンスとセキュリティは、開発者、販売者、そして消費者にメリットをもたらします。持続可能で安全かつ信頼できるフレームワークを基盤として、この新しいシステムを構築する唯一の方法は、さまざまな業界の規制団体や専門家を含む金融セクターと協力し、イノベーションを進めることです。そしてこのアプローチは、現在よりもさらに低コストで、アクセスしやすく、互いにつながったグローバル金融システムの実現に向けて、大きな飛躍をもたらすでしょう。

Libraが生み出す機会

共にこの取り組みを始めるにあたり、皆さんに私たちの考えをお伝えし、このイニシアチブから生み出すコミュニティやネットワークの方向性を定めたいと思います。

  • 私たちは、もっと多くの人が金融サービスを利用できるようにする必要があると考えます。
  • 人には合法的な労働の成果を自分でコントロールする、生まれながらの権利がある、と私たちは考えます。
  • グローバルに、オープンに、瞬時に、かつ低コストで決済ができるネットワークは、世界中で多大な経済機会を生み、商取引を増やす、と私たちは考えます。
  • 人びとは次第に分散型ガバナンスを信頼するようになる、と私たちは考えます。
  • オープンで広範に相互運用が可能な決済ネットワークは、高いコンプライアンス標準をもって設計・運営する必要がある、と私たちは考えます。
  • 私たち全員に、ファイナンシャルインクルージョンを推進し、倫理的な行為者を支援し、決済システムの公正性を継続的に維持する責任がある、と私たちは考えます。

セクション 02

Libra決済システム

世界は、真の「お金のインターネット(IoM)」を実現する、相互運用が可能な信頼性の高い決済システムを必要としています。 モバイルデバイスでの金融資産確保は、シンプルかつ直感的でなければなりません。メッセージの送信や写真のシェアと同じくらい簡単かつコスト効率良く、より安全に、また住んでいる場所や職業、所得にかかわらず、規制に従った方法で世界のどこにでも送金できることが求められます。新しい製品のイノベーションや、新しい参加者が、より多くの人がスムーズな決済を利用できるようにハードルを下げてくれます。

今こそブロックチェーン技術を基に新しいデジタルインフラを開発するときです。Libraのミッションは、多くの人びとに力を与える、シンプルでグローバルな決済システムと金融インフラを実現することです。Libraプロジェクトは、以下の3つのパートからなり、それらが互いに機能し合って、いっそうのファイナンシャルインクルージョンを実現します。

  • 決済システムを技術的に支える、安全でスケーラブルな、信頼できるブロックチェーン。
  • 現金または現金等価物と超短期国債が形成する資産リザーブによって裏付けられたLibraコイン。
  • 独立したLibra協会と子会社のLibraネットワークによるガバナンスとLibra決済システムの開発・運営。

Libra決済システムの基盤は、Libraブロックチェーンです。全世界のオーディエンスに対応することを意図しているた め、Libraブロックチェーンを実装するソフトウェアはオープンソースです。つまり、これをベースに誰もが開発を行うこ とができ、多くの人びとがこれを利用して金融ニーズを満たせるようになっています。オープンで相互運用が可能な 決済システムを想像してみてください。開発者や組織が開発するこのシステムは、個人や事業者がLibraコインの 所有や移動に日常的に利用できます。スマートフォンとワイヤレスデータが普及し、インターネットの利用率が高まる ことで、多くの人がLibra決済システムにアクセスできるようになるでしょう。Libraネットワークでいずれこのビジョン を実現するために、スケーラビリティ、セキュリティ、ストレージとスループットの効率性、そして将来の適応性を優先 して、専用のLibraブロックチェーンが一から開発されました。Libra決済システムの概要の続きを読むか、Libraブロッ クチェーンの詳細をこちらでお読みください。

Libra決済システムは、単一通貨ステーブルコイン(≋USD、≋EUR、≋GBPなど)とマルチ通貨コイン(≋LBR)をサポート します。このすべてのコインをLibraコインといいます。私たちは、Libraコインが多くの場所で取り扱われ、必要な人が簡単に利用できる通貨となることを目指しています。便利に使えるだけでなく、長期的にも価値が比較的安定した通貨として信頼を得る 必要があります。そのために、単一通貨ステーブルコインは、現金または現金等価物、および同じ通貨の超短期国債 が形成するLibraリザーブによって、全額が1対1の価値で裏付けられます。Libraネットワークによってサポートされる ≋LBRは、1対1で価値を裏付けられた単一通貨ステーブルコインを合成した通貨であり、単一通貨ステーブルコイン の裏付けと安定性をそのまま継承します。Libraリザーブは、Libraコインの価値を長期にわたって維持していくため の機構です。Libra協会の概要の続きを読むか、Libraリザーブの詳細をこちらでお読みください。

Libra協会は、スイスのジュネーブを本拠とする独立した会員組織です。Libra協会の目的は、Libraネットワークと Libraリザーブに関するガバナンス上の意思決定を支援するため、フレームワークを調整・提供すること、Libra決済シ ステムの運用と発展を監督すること、Libraブロックチェーン上で安全かつポリシーに準拠した形でのサービス提供 を促進すること、ファイナンシャルインクルージョンを支援し、社会的影響を考慮した助成金を確立することです。 このホワイトペーパーは、Libra協会のミッション、ビジョン、活動を反映するものです。

Libra協会 のメンバーは、さまざまな地域に拠点を置く多様な企業、非営利組織などで構成されます。

Libra協会の創立においてはFacebookチームが主要な役割を果たしましたが、協会自体の中でFacebookチームは 特別な権利を有しません。2019年10月14日に、Libra協会の創立メンバーが協会憲章に署名しました。これにより、 メンバー団体あたり1名の代表者で構成される協会の評議会が設立されました。評議会では、すべてのメンバーが等 しい権利、等しい義務を持ちます。また、評議会は、5人のメンバーで構成される理事会を選任し、日常的な管理業務 と協会の代表としての役割を託しました。Libra協会の組織体系とガバナンスについて詳しくは、こちらをご覧くだ さい。

セクション 03

Libraブロックチェーン

Libraブロックチェーンの目標は、数十億人のファイナンシャルニーズを満たす新しいグローバル決済システムをはじめ、さまざまな金融サービスのための基盤を提供することです。既存の選択肢を評価する過程で、私たちは次の3つの要件に基づき新しいブロックチェーンを開発することを決めました。

  • 数十億のアカウントに対応できるスケーラビリティ。特に、高い取引スループット、低遅延性、効率的で容量の大きいストレージシステムが必要。
  • 堅固なセキュリティ。資金や財務情報の安全を確保するため。
  • 金融サービスのさらなるイノベーションを可能にするための柔軟性。

Libraブロックチェーンは、これらの要件に総合的に応えるために一から設計され、既存のプロジェクトや調査研究から得られた知見を取り入れています。革新的なアプローチと十分に理解の進んだ技術を組み合わせて生み出されたのです。次のセクションでは、Libraブロックチェーンに関する3つの決定について詳しく取り上げます。

  1. 1. プログラミング言語「Move」を設計し、使用する。
  2. ビザンチン・フォールト・トレランス(BFT)合意アプローチを使用する。
  3. 広く採用されているブロックチェーンデータ構造を採用する。

プログラミング言語「Move」を設計し、使用する。

Moveは、Libraブロックチェーンに独自の取引ロジックや「スマートコントラクト」を実装するための新しいプログラミング言語です。いずれ多くの人びとにサービスを提供するというLibra協会の目標を達成するため、Moveは安全とセキュリティを最優先に設計されています。Moveは、これまでにスマートコントラクトに関連して起きたセキュリティの問題を分析して、作者の意図を実現するコードをより簡単に書けるようにする言語を作り出し、意図しない不具合やセキュリティ問題の発生リスクを抑えます。具体的には、Moveは資産がコピーされるのを防ぐよう設計されています。Moveでは、デジタル資産に物理的な資産と同じ制約を持たせる「リソースタイプ」も可能なため、リソースの所有者を1人、使用回数を1回に限定し、新しいリソースの作成を制限することができます。

Move言語では、決済取引では支払人と受取人の残高のみが変化するなど、取引が特定の条件を満たすことを自動で簡単に証明できます。これらの機能を優先することで、Moveは、Libraブロックチェーンの安全を確保します。Moveにより、決済取引やバリデータノードの管理など、Libraネットワークのコア要素を簡単に安全に定義することができます。また、Moveは、トラベルルールへの準拠やプロトコルレベルにおける制裁スクリーニングなどを促進するコンプライアンスメカニズムを、Libraネットワークに組み込む手段でもあります。

Libra協会は、スマートコントラクトの適切なレビューとリスク制御に取り組んでいます。まず、Libra協会によって 承認・発行されたスマートコントラクトだけがLibra決済システムと直接やり取りできる仕組みになっています。今後、 Libra協会は、適切な制御機能を準備することで、第三者によるスマートコントラクトの発行を可能にする予定です。

ビザンチン・フォールト・トレランス(BFT)合意アプローチを使用する

バリデータノード間での合意形成を促進するために、Libraブロックチェーンでは、Libraビザンチン・フォールト・トレランス(LibraBFT)合意プロトコルを使用したBFTアプローチを採用しています。このアプローチは、3つの重要な目標を達成します。第1に、このアプローチはネットワークに対する信頼を築きます。なぜなら、BTF合意プロトコルは、一部のバリデータノード(最大でネットワークの3分の1)で不正や不具合が起きても正常に機能するように設計されているからです。第2に、このクラスの合意プロトコルは、他のブロックチェーンで使われている「プルーフ・オブ・ワーク」よりも高い取引スループット、低遅延性、エネルギー効率の良い合意形成アプローチを可能にします。第3に、LibraBFTプロトコルを通じて取引の終了が明確に記述されるようになります。参加者は、一定数のバリデータから取引が確認されたことを見て、取引の完了を知ることができます。

BFTの安全性はバリデータの質に左右されるため、Libra協会は、バリデータ候補に対してデューデリジェンスを実施します。Libraネットワークは、セキュリティを最優先するアプローチを使い、洗練されたサイバー攻撃や基幹インフラ攻撃を想定して設計されています。Libraネットワークは、重要なコード(「トラステッド・コンピューティング・ベース」)の分離、合意アルゴリズムの革新的なテスト方法、依存関係の慎重な管理といった技術を活用することで、バリデータによって実行されるソフトウェアの安全性を強化します。最後に、Libraネットワークは、重大なエラーの発生時やアップグレードの必要性が生じた際にLibraブロックチェーンをどのように再構成すべきかを示す、ポリシーと手順を定義します。システムを安全に復元できるような設計に加えて、再構成のポリシーと手順を準備することには、対抗する姿勢が整っていることを攻撃者に知らせ、攻撃を阻むという効果もあります。

広く採用されているブロックチェーンデータ構造を採用する

取引情報を安全に保存するため、Libraブロックチェーンのデータはマークル木によって保護されます。マークル木は既存データへの変更を検出できるデータ構造で、他のブロックチェーンでも使用されています。ブロックチェーンを取引のブロックの集合体とみなす既存のブロックチェーンプロジェクトとは異なり、Libraブロックチェーンは、取引の履歴と経時的な状況を記録する単一のデータ構造を取ります。これにより、ブロックチェーンにアクセスするアプリケーションの動作を簡略化できるため、統一されたフレームワークが、任意のデータを任意の時点から読み、そのデータの完全性を検証することができます。

設計において上記のような決定を下した成果の1つは、Libraブロックチェーンが公的な検証可能性を提供すること、つまり、誰もが(バリデータ、Libraネットワーク、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)、法執行機関、サードパーティが)あらゆるオペレーションの正確さを監査できるという点です。取引は、暗号を使用して署名されるため、たとえすべてのバリデータで漏洩が起きたとしても、安全な署名キーを使っているアドレスから送られた偽りの取引が、委託されたものとして受け入れられることはありません。この設計は、ハードウェアキーの管理や、高価値の暗号化キーのオフライン保管と互換性があります。

設計上の決定のもう1つの成果は、Libraブロックチェーンがネットワークの参加者の多様性を考慮に入れたプライバシーアプローチをサポートすることです。Libra協会は、Libraブロックチェーンのプロトコルやネットワークの進化を監督し、継続的に新たな技術を評価することで、適用される規制要件を考慮しながらブロックチェーンにおけるプライバシーコンプライアンスを強化します。

詳しくは、Libraブロックチェーンに関するこちらの技術文書をお読みください。Moveプログラミング言語および LibraBFT合意プロトコルに関する詳細情報もご覧いただけます。Libra協会はごく初期の段階のLibraテストネットを 付属ドキュメントと共にオープンソース化しました。テストネットは現在も開発中でAPIは変更される可能性があり ます。2019年6月以降、進捗状況がブログへの投稿ロードマップの更新 を通じて定期的に報告されています。 Libra協会は、コミュニティとオープンな共同作業を進めていく所存であり、皆さまが継続的にドキュメントを読み、 評価し、フィードバックを提供してくださることを願っています。

セクション 04

Libra通貨とリザーブ

Libra協会がLibraリザーブの運営構想を発表した際のドキュメントは、プロジェクトの完成したロードマップというよ りも、コンセプトの「ゲラ」のような意味合いを持っていました。2019年6月以降、私たちは、たくさんの組織、規制団 体、政策立案者、学識者と話し合いを持つことで、主要な懸念を理解し、Libraネットワークの経済的設計に実用的な 改善を組み込んできました。世界各地で行ったこれらの話し合いやミーティングは、私たちの方向性を知らせるうえ で大変有益な機会となりました。特に、G7作業グループが実施したステーブルコインに関する調査は、徹底的で思慮 深く、内容の濃いものになっています。報告書の中で提起された懸念は、早急に答えを出さなければならない問いだ けでなく、長期的に生じる可能性のある課題も明るみに出してくれました。

重要な懸念の1つは、ある国でネットワークの規模が大きくなった場合に、マルチ通貨のLibraコイン(≋LBR)が貨幣の主権性や貨幣政策に干渉することになるのではないか(つまり、≋LBRがその国の通貨に取って代わるのではないか)というものでした。≋LBRを国内での取引に使うとコインの保有者に外国為替エクスポージャーが生じるうえ、≋LBRの使用は外国為替法などによって制限される場合があるため、そのような状況になる可能性は低いと考えられますが、私たちは懸念を真摯に受け止めています。

世界中で利用できる低コストの決済システムとして設計されたLibraネットワークは、国内通貨に対抗するものではなく、国内通貨を補完するシステムです。通貨の安定化と価値保全は、当然ながら公共部門だけが持つ権限であり、責任です。そのため私たちは、Libraネットワークに単一通貨ステーブルコイン(≋USD、≋EUR、≋GBPなど)を加え、いずれその種類を増やしていくことでネットワークを拡張します。単一通貨ステーブルコインの導入により、消費者や事業者が自国の通貨と同じステーブルコインで取引できるようになり、国内での使用事例の幅が広がります。単一通貨ステーブルコインの全額を裏付けるLibraリザーブは、現金または現金等価物、およびその通貨の使用国が発行する超短期国債によって形成されます。単一通貨ステーブルコインは、市場需要に応じて鋳造・焼却されます。コインの価値は1対1で裏付けられるため、新たな純貨幣創出にはつながりません。

私たちの考えでは、このアプローチによりコストの削減と新たな機能が可能になると同時に、各国におけるLibra決済システムの使用を中央銀行が最大限の柔軟性をもって制御できるようになります。

最初のうちは、流動性の高い安全な国債市場を持つ国の通貨に限定して単一通貨ステーブルコインを提供する予定です。そして、世界中の規制団体や中央銀行、金融機関と協力してLibraネットワークで利用できる単一通貨ステーブルコインの種類を増やし、共同でステーブルコインの直接管理を行うにはどのような技術上、運用上、法律上の要件を満たすべきか、を探ります。特に、ネットワークで単一通貨ステーブルコインが提供されていない地域において、新たな導入が懸念を生む場合は、Libra協会が中央銀行および規制団体と協力して導入を実施することも考えられます。Libra協会は、地域の貨幣政策やマクロプルーデンス政策をどのようにサポートすべきかについて、ご提案をお待ちしております。

Libraネットワークで単一通貨ステーブルコインが提供されていない国では、中立で低変動なオプションである≋LBRが、地域のユーザーによるネットワークの利用を可能にし、ファイナンシャルインクルージョンを高めるはずです。このコンテキストにおいて、≋LBRはグローバル取引のための決済コインとなります。消費者や事業者は、受け取った≋LBRを、第三者金融サービスプロバイダーを通じて現地通貨に両替し、商品やサービスの購入に使うことができます。例えば、米国に住むLibraユーザーが外国にいる家族にお金を送りたいとします。米国にいる送金者は、≋USDで送金しようと考えるはずです。受取人の住む地域のLibraネットワークで別の単一通貨ステーブルコインが使用されている場合、送金者は、そのステーブルコインで送金することもできます。あるいは、≋USDを送金し、受取人がそれを現地の単一通貨ステーブルコインに両替するか、第三者金融サービスプロバイダーを通じて現地通貨に両替すれば、受取人は資金を簡単に使用できるようになります。単一通貨ステーブルコインが提供されていない場合は、≋LBRで送金します。受取人は、第三者金融サービスプロバイダーを通じて≋LBRを現地通貨に両替し、商品やサービスの購入に使用します。Libraネットワークは、Libraコインと法定通貨または他のデジタル資産との両替を準備、記録、決済することはありません。上記のとおり、両替は第三者金融サービスプロバイダーが行います。地域にかかわらず、Libraブロックチェーン上にLibraコインの保有・送金用のアドレスを持つ両替商などの仮想資産サービスプロバイダー(VASP)は、外国為替に関して適用される制限と、通貨代替のリスクを緩和するための資本制御に完全に準拠しなければなりません。

さらに、中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を開発する際に、Libraネットワークと直接統合できるようなデジタル通貨が設計され、Libraネットワークによるリザーブの管理が不要になること、ひいては信用リスクとカストディリスクが軽減されることが、私たちの願いです。例えば、ある国の中央銀行が米ドル、ユーロ、または英ポンドのデジタル通貨を開発する場合、Libra協会は、該当する単一通貨ステーブルコインを中央銀行デジタル通貨で置換することができます。

単一通貨ステーブルコインによって、≋LBRの設計が単純になります。≋LBRは、固定名目ウェート(例えば、≋USD 0.50、≋EUR 0.18、≋GBP 0.11)を使って単一通貨ステーブルコインを集計したスマートコントラクトとして実装できます。このような≋LBRの設計は、国際通貨基金(IMF)が特別引出権(SDR)で使用しているアプローチと似ています。≋LBRが定額の単一通貨ステーブルコインで構成され、そのステーブルコインがネットワークでサポートされていることから、≋LBRは、各単一通貨ステーブルコインを裏付けているリザーブによって全額が裏付けられます。

Libra協会が≋LBRのウェートを一方的に変更するのではないかという懸念を払拭するため、Libra協会は、規制団体や中央銀行または国際組織(IMFなど)が、協会の主要監督機関であるスイス金融市場監督局(FINMA)のガイダンスの下でバスケットの構成(含まれる通貨とそれぞれのウェート)を監督・制御すべきであると考えています。

ただし、単一通貨ステーブルコインは、ウォレットや両替商、マーチャントソリューションプロバイダーに多少の煩雑さをもたらします。例えば両替商は、1つのデジタル資産に限らず複数のデジタル資産で十分な流動性を維持しなければならないでしょう。送金は、送金者の現地通貨の単一通貨ステーブルコインから別の単一通貨ステーブルコイン(≋USDや≋EURなど)へ、または≋LBRへ行われるはずですが、ウォレットが複数通貨間での送金を処理しなければならないケースもあるでしょう。

Libraネットワークの意図は、中央銀行によって適切に管理されている法定通貨の機能を拡張し、グローバルなやり取りをサポートすることです。この新たなアプローチに従って、貨幣の主権性にまつわる懸念を軽減し、世界中の消費者や事業者に使いやすい決済システムと金融商品を提供する道筋をつけたいと考えています。

Libraリザーブと保護

Libraネットワークは、効率的な決済手段に対する信頼を獲得することを経済設計の主要な目的の1つとしています。Libraネットワークのステーブルコインは、高い流動性と高い品質を誇る資産リザーブによって完全に裏付けられ、コインの売買を担う再販業者と両替商の競争的ネットワークによってサポートされます。つまり、Libraコインの保有者は、Libraコインが現地通貨に両替可能であることを確信できます。

完全な裏付けとリスク軽減の重要性

Libra協会は、最初のLibraホワイトペーパーの中で、ネットワークを利用する消費者や事業者にとって完全な裏付けがいかに重要かを認識し、その実現に取り組むことを決定しました。2019年9月、FINMAに決済システムのライセンスを申請する意図を発表しました。FINMAは、Libraコインの完全な裏付けをライセンスの条件とするものと考えられています。

完全な裏付けとは、Libraリザーブが、流通しているLibraコインの額面と等しいか、それ以上の額を、現金または現金等価物と超短期国債の形で保有することを意味します。これは、銀行が預金債務の裏付けとして現金その他の当座資産を一部(例えば10パーセント)しか保有せず、残りをローンなどの非流動資産で構成しているのと対照的です(部分準備銀行制度)。当座資産による完全な裏付けは、取り付けを防ぎ、決済システムを安定させるうえで重要です。Libraコインの透明性と可監査性を確保し、完全な裏付けを実現すれば、消費者や事業者は、Libraコインが現地通貨に両替できることを確信できるはずです。

Libraリザーブは、市場需要に応じて単一通貨ステーブルコイン(≋USD、≋EUR、≋GBPなど)を鋳造・焼却します。また、スマートコントラクトが特定の単一通貨ステーブルコインを、指定の固定名目ウェートに従って組み合わせ、≋LBRを構成します。≋LBRは、単一の通貨に固定されていないため、各通貨の価値が変動すると、任意の通貨における1≋LBRの価値が上下する可能性があります。Libra協会は、規制団体や中央銀行または国際組織(IMFなど)が、協会の主要監督機関であるスイス金融市場監督局(FINMA)のガイダンスの下で≋LBRを監督・制御すべきであり、FINMAは、変動を最小限に抑えるためにウェートと構成を監督・制御すべきだと考えています。

Libraリザーブの構造は、脅威を抑え、リスクを最小にするよう設計されています。Libraネットワークの支払い能力を維持し、Libra決済システムを常時スムーズに機能させるために、Libraリザーブは、高品質な当座資産、または迅速に高品質な当座資産に変換できる資産を利用しています。具体的には、Libraリザーブの少なくとも80パーセントを、信用リスクがとても低く(S&Pの格付けがA+、ムーディーズの格付けがA1以上)国債が流動性の高い二次市場で取引されている国の超短期国債(残存期間が最大3か月)で構成しています。残りの20パーセントは現金で保有し、同等のリスクと流動性のプロファイルを持った短期国債(残存期間が最大1年)に投資しているMMFへのオーバーナイト入金が行われます。通貨リスクに対処するために、Libraリザーブを構成する資産の通貨構成を、未払いの単一通貨ステーブルコインの構成(未払いの≋LBRを形成する単一通貨ステーブルコインを含む)に一致させます。この(FINMAによって付与される決済システムライセンスに反映される)決まりは、利率や流動性、信用に関するリスクを小さくするのに役立ちます。

ただし、このように流動性の高い資産をもってしても、Libraネットワークが損失を被る可能性、または極端な経済状況で資産の現金化が難しくなる可能性はあります。消費者を確実に保護するために、Libraリザーブにはさらなる資本バッファーが勘案されています。Libra協会は、規制団体からインプットを得て、損失吸収力のある適正規模の資本バッファーを維持できるように規制に従った資本フレームワークを作成しています。例えば、この資本バッファーは、Libra決済システムの信用リスク、市場リスク、運用リスクから損失が生じるのを防ぎます。運用リスクには、外部または内部の不正行為、ビジネスの中断、システム障害、制御障害などがあります。

Libraリザーブの運営は、一般への透明性を確保したうえで行われます。また、独立監査人による定期的な監査を受けます。監査の結果は公開され、流通しているLibraコインの全額がLibraリザーブを構成する資産によって裏付けられることが証明されます。Libra協会のウェブサイトでは、毎日、その時点でのLibraリザーブの構成と資産の市場価値が発表されます。

いずれは、現金や現金等価物および超短期国債の直接管理、さらにはLibra決済システムとCBDCの統合といった懸案について中央銀行と協力できることを、Libra協会は望んでいます。そうすることで、信用リスクやカストディリスクを減らし、Libraリザーブの運用を効率化し、Libraコインの保有者にさらなる安心を提供することができます。

超短期国債や現金または現金等価物のカストディにおいて逆イールドが発生した場合、Libraネットワークは、他の収益フロー(取引手数料など)を通じて費用をカバーする必要があります。リザーブ資産にプラスの利子が生じた場合は、システムの経費をまかなうために使用します。これにより低額の取引手数料を保証し、必要な資本バッファーを補充し、さらなる普及と成長を後押しします。Libraリザーブに対する利子の分配ルールは事前に設定し、Libra協会が運用を監督します。Libraコインの保有者がLibraリザーブから利益を受け取ることはありません。

カストディと指定ディーラー

Libraリザーブを形成する資産は、世界各地から集めた資本力のあるカストディアン(保管銀行)によって保有されます。地理的に分散したネットワークが資産を保有することで、資産のセキュリティと分散性が保証されます。カストディアンになる銀行は、それ自体がすでにリスク軽減のための多数の措置を取っていると考えられます。Libra協会は、Libraリザーブの資産が貸付や担保、転質に使用されたり、Libraリザーブの口座から一時的にでも移されたりしないよう、また、Libraネットワークのカストディ業務とは無関係な責務の保証に利用されたりしないよう、さらなる措置を講じることをカストディアンに提案します。

Libraネットワークは、消費者とは直接やり取りしませんが、厳選した指定ディーラーと提携することで、ウォレットや両替といった消費者向け商品のための換金能力を維持します。指定ディーラーは、タイトなスプレッドでのマーケットメイクに努め、多量の取引を扱えるようにします。極端な状況が発生し、指定ディーラーがLibraコインのマーケットメイクができなくなった場合、Libraネットワークは、事前の取り決めに従って第三者の管理者またはディーラーから援助を受けたうえで管理業務やエンドユーザーのためのLibraコインの焼却、およびLibraリザーブを形成する資産の現金化を進め、適切な支払いを行います。このような緊急措置は、常に該当する規制団体のガイダンスの下で実施されます。

緊急措置

Libra協会は、損失吸収力のある資本バッファーを含めた、リスクを軽減するシステムの導入に重点を置き、継続的かつ包括的な監督業務を促進しています。それでも、取り付けその他、Libra決済システムの実行可能性を脅かしかねないストレスシナリオに対して、そのような状況が起こる可能性がいかに低いとはいえ、備える必要があることを承知しています。復旧・問題解決のプランを立てるうえで、Libra協会は、LibraネットワークがLibraリザーブ内の超短期国債を速やかに現金化することができず、投げ売りによる損失を防ぎながらLibraコインの償却の要請にすべて応えることが不可能になる、という現実に起こる可能性は非常に低いストレスシナリオを想定し、そこで実施できる次の2つの主要コンポーネントの準備を検討しています。

  • 買戻し猶予。Libraコインの買戻しを、投げ売りによる損失が生じないだけの期間にわたって遅らせることで、 Libraリザーブの資産を現金化する時間を確保します。
  • 早期買戻しのヘアカット。即時の買戻しに対して手数料を課し、コイン所有者に対して外部不経済(投げ売り による損失など)の内部化を求めます。

どちらの措置も、Libraリザーブでの取り付けのスピードを遅らせることを狙いとします。

私たちは、最終的にLibra協会やLibraネットワークが全体として機能しなくなっても、Libraコインの保有者を全力で保護するつもりでいます。第1に、Libraリザーブの主要な構成要素である超短期国債は、継続的に自己清算を行うため、Libraリザーブは、多額の現金を速やかに創出し、Libraコインの焼却に使うことができます。第2に、超短期国債の自己清算による現金の創出が十分でないか、そのスピードが追い付かず、Libraコインの焼却の要請すべてに応えることができない場合、Libraネットワークは、大量の超短期国債を額面から少額を割り引いただけで売却できる見込みです。第3に、国債の売却が損失につながった場合には、買戻しを一時的に見合わせ、市場への影響を最小限に抑えるに十分な時間をかけて残りの資産を現金化します。消費者の代理として、業務を続けている指定ディーラーがLibraコインと引き換えにLibraリザーブの残高に占める割合に応じた資金を受け取ります。業務を続けている指定ディーラーがない場合、Libra協会は、第三者の管理者に業務を支援してもらうことになります。Libra協会は、指定ディーラーだけでなく非常時用に待機する第三者の管理者またはディーラーまでもが業務を行えなくなった場合に、エンドユーザーにLibraリザーブの資金を返済するための仕組みを規制団体と共同で開発する予定です。

すべてのコインを完全に裏付けることは、Libra決済システムの重要な特徴です。私たちは、Libraリザーブへの脅威を真剣に受け止めると同時に、発生の可能性が非常に低いものも含めた広範なリスクに対し、上記のアプローチがユーザーを保護するものと確信しています。

セクション 05

コンプライアンスと不正行為の防止

消費者や事業者によるネットワークへの参加を促進するためには、Libra決済システムの安全性、セキュリティ、整合性を信頼してもらう必要があります。どの決済システムも、絶え間なく変化するセキュリティ脅威や他のリスクに直面します。Libra協会は、脅威やリスクに効果的に対処するには、マネーロンダリング対策(AML)、テロ資金供与防止(CFT)、制裁コンプライアンスメカニズム、不正行為防止メカニズムの構築が重要であることを認識しています。Libra協会のミッションを追求するうえで課題となるのは、ポリシーに関する重要な懸念に対処したシステム、同時に十分なサービスを受けていない多くの人びとが利用できるようなシステムを設計することです。

Libra協会とその子会社は、マネーロンダリングやテロ資金供与などの防止に貢献すべく、法律に準拠した安全で使いやすい決済システムを構築し、規制団体や中央銀行、政策立案者の取り組みを支援することに努めます。Libra協会とその子会社は、規制要件を満たすこと、Libra決済システムの参加者による準拠を支援することを保証した、次のようなコンプライアンスフレームワークを導入します。プロトコルレベルでの制御が、高水準のコンプライアンスの促進を可能にします。

Libraネットワークの参加者と支払いアクティビティの種類

以下は、Libraネットワークの参加者が持つ役割をまとめたものです。

団体: Libra協会とその子会社

  • LibraネットワークのガバナンスとLibraプロジェクトの開発に対して責任を負う。
  • Libra協会のメンバー、指定ディーラー、バリデータに対してデューデリジェンスを実施する。
  • Libraコインの鋳造・焼却プロセスを管理する。
  • ネットワークの参加者に向けてコンプライアンス標準を確立し、プロトコルレベルを始めとするコンプライアンス制御を実装する。
  • ファイナンシャルインテリジェンスユニット機能(FIU)を通じてネットワークをモニタリングし、疑わしい行為を報告する。

団体: 協会メンバー

  • Libra協会のガバナンスに関与する。
  • Libra協会による定期的なデューデリジェンスの対象となる。

団体: 指定ディーラー

  • Libraネットワークとの契約に従い、Libraネットワークとの間でLibraコインを売買する権利を有する団体。
  • 両替商や販売店との間でLibraコインの売買を行い、エンドユーザー向けのLibraコイン市場を促進する。
  • Libra協会またはその子会社による定期的なデューデリジェンスの対象となる。外国為替市場に関する専門知識を持った資本力のある金融機関であることが求められる。

団体: 仮想資産サービスプロバイダー

  • 2019年6月に金融活動作業部会が発行した仮想資産および仮想資産サービスプロバイダーに関するガイダンス(FATFガイダンス)の中で定義されている。
  • Libraネットワーク上で、顧客のために両替、管理などの金融サービスを実施する団体。
  • 特定の仮想資産サービスプロバイダー(VASP)は、Libraネットワーク上で取引額やアドレス残高の制限を受けずに事業を行うことができる。これらの団体は、規制された団体として、Libra協会またはその子会社によって確立されたリスク中心のデューデリジェンスを受ける。VASPがFATFの管轄区域において登録または認可されたVASPであること、またはFATFの管轄区域において登録または認可され、かつその認可または登録の下でVASP活動の実施を許可された団体(規制VASP)であることの確認がデューデリジェンスに含まれる。加えて他の一部のVASPは、Libra協会によるリスク中心のコンプライアンス認定プロセスを受ける必要がある。このコンプライアンス認定プロセスは、第三者サービスプロバイダーがLibra協会またはその子会社によって設定された標準を適用して実施する場合もある。
  • Libra協会は、リスクプロファイルにしたがって、特定の規制・認定VASPに対し取引やアドレス残高の制限を課す場合がある。

団体: アンホステッドウォレットのユーザー

  • Libraブロックチェーンでは、規制VASP、認定VASP、指定ディーラーと関連しないものを指します。
  • これらのアドレスに対しては、取引およびアドレス残高の制限を含むコントロールがプロトコルによって実施されます。

Libraネットワークのコンプライアンスとセーフティーコントロールの詳細

A. Libra協会は、包括的なコンプライアンスプログラムを作成する

Libra協会は、関連する法律や要件を満たすか、それを超える包括的なコンプライアンスプログラムを導入します。このコンプライアンスプログラムは、少なくとも次の項目を実施します。

  • 最高コンプライアンス責任者を任命する。
  • 監督報告義務を負う委員会を任命する。
  • リスク評価に基づいてAML/CFT/制裁コンプライアンスのポリシーおよび手順を文書として作成し、Libra協会理事会(または子会社の役員会)の承認を受ける。
  • すべてのメンバー、指定ディーラー、規制VASP、認定VASPに対してリスク中心のデューデリジェンスを実施する。
  • 定期的なリスク評価や規制要件の変化に合わせてAML/CFT/規制プログラムを定期的に改訂する。
  • Libraネットワーク上で不審なアクティビティや規制されているアクティビティのモニタリングを促進するFIU機能を作成し、ネットワークの安全性とコンプライアンスを高める。
  • 内部監査などの職務を指示する。これは、Libra協会のAML/CFT/規制コンプライアンスプログラムの定期的な独立審査に求められる独立性の標準を満たさなければならない。
  • 関係する社員の研修を実施する。

B. Libra協会は、Libra決済システムを制限なく使用するための強制標準を設定する

Libra協会またはその子会社は、Libraネットワークに参加するメンバー、指定ディーラー、規制VASP、認定VASPに対し、強制標準を設定します。この標準を満たす団体は、Libraネットワークで取引するうえで取引やアドレス残高を制限されないか、制限される場合でもアンホステッドウォレットより高い上限が設定されます。

C. Libra協会は、協会のメンバーと指定ディーラーに対してデューデリジェンスを実施する

Libra協会およびその子会社は、協会への参加を希望するメンバーに対してはその承認の前に、指定ディーラー候補に対しては契約の締結前に、デューデリジェンスを実施します。

このデューデリジェンスは、高いレベルのコンプライアンス、評判、信頼性を確保するために、メンバーおよび指定ディーラー向けにLibra協会が設定した標準に従って実施されます。デューデリジェンスの手順には、メンバーまたは指定ディーラーに関する次のような項目の確認が含まれますが、これに限定されません。

  • 団体のステータス
  • 規制スクリーニング
  • 否定的な報道
  • 実質的な所有者および支配者
  • 適用されるAML/CFT/規制コンプライアンス規制要件への準拠
  • ライセンスおよび登録
  • 団体の拠点と顧客基盤の地理的範囲

デューデリジェンスの際、Libra協会とその子会社は、すべての指定ディーラーが資本、および外国為替市場に関する専門知識の点において要件を満たしていること、すべての指定ディーラーがLibra決済システムの下流組織に対してデューデリジェンスを実施することも検証します。

また、将来のメンバーと指定ディーラーに対するデューデリジェンスの実施に加え、既存のメンバーや指定ディー
ラーに対してもリスク中心のデューデリジェンスを定期的かつ継続的に実施します。

D. Libra協会は、規制された指定ディーラーを通じてLibraコインを供給する

Libraネットワークは、市場に供給するLibraコインを、指定ディーラーを通じてのみ鋳造し、指定ディーラーのLibraコインのみを現金化します。資本力のある規制された金融機関が指定ディーラーとなり、Libraネットワークとの契約に従ってLibraネットワークとの間でLibraコインの売買を行う権利を有します。指定ディーラーは、両替商やOTCディーラー(販売店)との間でLibraコインの売買を行い、エンドユーザー向けのLibraコイン市場を促進します。Libraネットワークは、指定ディーラーとの間でLibraコインの鋳造・焼却を行い、緊急措置において存在する臨時契約上の権利を除き、両替商やエンドユーザーとは契約関係を持ちません。

E. 規制VASPまたは認定VASPはネットワークでの取引において取引やアドレス残高の制限を受けない

Libra協会では、Libra決済システムはほとんどの場合、VASPを通じて利用されると想定しています。VASPは、ユーザーによる取引を促進し、一部の取引をLibraブロックチェーンではなくて独自の帳簿に記録することができます。規制・認定VASPは、以下のとおり、Libra決済システムの利用時にアンホステッドウォレットのような(後述)取引やアドレス残高の制限を受けることがありません。

規制VASP

規制VASPとは、FATFの管轄区域においてVASPとして登録または認可されたVASP、または、FATFの管轄区域において登録または認可され、かつその認可または登録の下でVASP活動の実施を許可された団体を指します。

規制VASPとしての資格を申請する団体は、Libra協会またはその子会社に最低でも次の項目を提出する必要があります。

  • FATFの管轄区域で、VASP活動の実施を許可するような認可または登録を受けていることの証明。
  • 団体が、事業の拠点を置く管轄区域において必要な認可および登録をすべて取得していることを説明した文書。Libra協会またはその子会社は、団体によって提供された情報とその団体に対して行われたリスク中心のデューデリジェンスの結果に基づいて、団体がFATFの管轄区域においてVASPとして正しく認可または登録されていること、またはFATFの管轄区域において登録または認可され、かつそのような登録または認可の下でVASP活動の実施を許可された団体であることを確認します。
  • リスク中心の規制コンプライアンスプログラムおよびコントロールの提示。

Libra協会、子会社、または厳選された第三者サービスプロバイダーによる確認と、VASPに対するリスク中心のデューデリジェンスが完了すると、VASPは、Libraネットワーク上に規制VASPとしてのアドレスを作成することが許可されます。このアドレスにより、取引やアカウント残高に対する制限を受けずに取引を行うことが可能になります。Libra協会は、規制VASPのリスクプロファイルに応じて、取引およびアドレス残高を制限したアドレスを割り当てる場合もあります。

Libra協会またはその子会社は、規制VASPとそのステータスのディレクトリを記録し、公表します。各団体は、規制VASPとして毎年再認定を受ける必要があり、Libra協会、その子会社、または厳選された第三者サービスプロバイダーは、規制VASPの規制ステータスやリスクプロファイルに変化がないかを継続的にモニタリングします。

認定VASP

認定VASPとは、規制VASPの資格は持たないが、Libra協会の標準に基づいて認定されたVASPを指します。認定VASPのステータスは、VASPの規制がないFATF管轄区域またはFATFの管轄区域でない地域で事業を行っていて、かつ適切な標準を満たしているVASPに対し、アンホステッドウォレット(後述)のような取引およびアドレス残高の制限を課されずにLibraネットワークでサービスを提供できるようにするものです。認可または登録制度を導入しているFATF管轄区域のVASPは、認可または登録を受けていなければならず、規制VASPとしてのデューデリジェンスの対象となります。

最高レベルの認定は、Libra協会によって設定された要件を満たすVASPに与えられ、この要件はFATFガイダンスの下で課されるものと原則的に一致します。Libra協会は、リスクプロファイルに応じて取引およびアドレス残高を制限される、より低いレベルの認定VASPを設定することができます。

認定VASPのステータスを希望する団体は、認定を申請し、Libra協会によって設定された標準を満たすこと、妥当なリスク中心のコンプライアンスプログラムおよびコントロールを導入していることを証明します。認定は、Libra協会、その子会社、またはLibra協会によって承認された第三者認定プロバイダーが行います。第三者認定プロバイダーには、Know-Your-Business (KYB)プログラムの一環としてデューデリジェンスを実施する指定ディーラー、認定サービスの応募者を引き受ける指定の独立監査法人などが含まれます。

Libra協会またはその子会社は、認定VASPとそのステータスのディレクトリを記録し、公表します。VASPは、認定VASPとして毎年再認定を受ける必要があり、認定を実施する団体は、VASPに対して適切なリスク中心のデューデリジェンスとステータスの継続的なモニタリングを実施するか、それらを他の認定団体に実施させる必要があります。

アンホステッドウォレットがユーザーのために行う活動は、取引とアドレス残高の制限、およびその他のコントロールの対象となります。

Libra協会は、ファイナンシャルインクルージョンを可能にする手段としてLibraネットワークにVASP以外の団体、つまりアンホステッドウォレットが直接アクセスし、金融サービスへの幅広いアクセスを提供し、イノベーションと競争を育むことが重要と考えています。

ファイナンシャルインクルージョン: Libra協会の目標は、Libraネットワークを現在の規制の枠組みの中でできる限りインクルーシブなものにすることです。世界には、銀行サービスを十分に、またはまったく受けられない人が多数存在し、これらの人びとへのサービスの提供は規制VASPや認定VASPの多くにとっても商業として成立しません。Libra協会は、アンホステッドウォレットによるLibraネットワークへのアクセスを許可することで、金融サービスを利用できない人びとに安全でコストの低い、スピーディーな決済サービスを提供できると考えています。

世界中で17億の成人が、従来型の銀行を利用することすらできずに金融システムの蚊帳の外に置かれています。10億人が携帯電話を所有し、5億人近くがインターネットに接続できるにもかかわらずです。このような人びとのニーズに応えるうえで、アンホステッドウォレットが重要な役割を果たします。

イノベーションと競争を育む: アンホステッドウォレットを通じて、Libraネットワークは、ソフトウェア開発者に対してプロトコルレベルの規制スクリーニングやコンプライアンスインフラ(FIU機能など)などのセキュリティ機能を組み込んだプラットフォームを提供するだけでなく、広範な人びとへのアクセスを可能にし、利用開始時の障壁を取り除きます。それが、イノベーションと競争を促進し、高品質な消費者ウォレットにつながります。

アンホステッドウォレットは、スマートコントラクトによって強化された革新的な製品へのアクセスも保証します。決済システムが参加者による支払いの決済やカウンターパーティーリスクの管理を支えるのと同様に、スマートコントラクトは、参加者に対し、Libraネットワークによって直接実施される複雑なビジネスロジックへの同意を可能にし、革新的な応用を支えます。スマートコントラクトには、Libraネットワークにコア機能とは違った便利な機能を追加する潜在能力があります。このようなスマートコントラクトモジュールは、今後、Libra協会またはその子会社の承認を受けたうえで使用・開発のために提供される予定です。規制上その他のリスクに対して十分なコントロールが実施されていることが承認の条件になります。ユーザーは、スマートコントラクト機能に対応している規制VASPや認定VASPが見つからない場合でもアンホステッドウォレットを通じて革新的なサービスにアクセスできます。

Libra協会は、アンホステッドウォレットによってコンプライアンス上のリスクや金融犯罪のリスクが高まる可能性があることを認識しています。これらのリスクに対処するため、アンホステッドウォレット(つまり、Libraブロックチェーンのアドレスのうち、規制VASP、認定VASP、指定ディーラーのアドレス以外のすべて)は、さらなるコントロールの対象となります。

Libraプロトコルは、アンホステッドウォレットの各アドレスに対し、取引の上限と最大アドレス残高を設定します。上限を超えた取引を希望するユーザーは、規制VASPまたは認定VASPと取引する必要があります。

Libra協会は、悪質行為者が規制VASPや認定VASPとしての認定を受けずにこれらの制限やコントロールを回避するために、複数のアンホステッドウォレットを作成・使用する可能性があることを認識しています。FIU機能は、とりわけこのような活動を検出し、阻止することを意図しています(後述のH節で説明)。

F. 自動化されたプロトコルレベルのコンプライアンスコントロールがチェーン上のすべての活動に適用される

Libra協会は、特定のコンプライアンスコントロールをLibraプロトコルに直接含めます。これらのコントロールは、Libraブロックチェーン上でのすべての取引に対し、特定のコンプライアンス要件を強制的に実施します。

以 下 に、L i b r aプロトコルの 一 部として実 施されるコンプライアンスコントロ ールをいくつか 示します。

  • 規制アドレス: プロトコルレベルのコントロールは、アンホステッドウォレットとVASPを含むすべてのネットワーク参加者に適用され、当局によって規制対象人物(規制対象ブロックチェーンアドレス)のものとされたブロックチェーンアドレスが関与する取引を自動的に阻止します。さらに、これらのコントロールは、規制対象ブロックチェーンアドレスに保管された金額の制限に使用することもできます。
  • 規制管轄区域: プロトコルレベルのコントロールは、規制管轄区域にあるIPアドレスからの取引を自動的に阻止します。
  • アンホステッドウォレットの制限: アンホステッドウォレットに対しては、プロトコルレベルのコントロールが取引とアドレス残高を制限します。
  • VASP認定: 規制・認定VASPに対しては、プロトコルレベルのコントロールが認定の更新要件を強制的に適用します。
  • トラベルルール: Libraプロトコルは、規制・認定VASPに対し、取引の際にトラベルルールに準拠していることの証明を求めます。ブロックチェーンの外にあるプロトコルが、規制・認定VASPによるトラベルルールへの準拠を支援します(後述のG節で説明)。

G. Libra協会は、オフチェーンのトラベルルールプロトコルを開発する

Libra協会は、オフチェーン(ブロックチェーンの外側)のプロトコルを開発して、規制・認定VASPによるトラベルルール要件と記録要件への準拠を支援します。このプロトコルは、これらのLibraネットワーク参加者の間で情報交換を促進することでコンプライアンスをサポートし、補足情報の共有を可能にするためのオープンテキストフィールドを含みます。アンホステッドウォレットのアドレスは、このオフチェーンプロトコルを使って必要なデータまたはリクエストされたデータを規制・認定VASPに送信できます。Libra協会は、規制・認定VASPの公開ディレクトリを作成して保持し、規制・認定VASPは、適用されるトラベルルールと記録要件への準拠を公に証明します(上記のF節で説明)。

H. Libra協会のFIU機能は、Libraネットワークのアクティビティをモニタリングし、Libraネットワークの参加者と の間で調整を行う

Libra協会とその子会社は、Libra決済システムの中で高いコンプライアンスレベルを維持することを目標に、FIU機能を運用します。FIU機能は、Libraネットワークのアクティビティをモニタリングし、政府機関やサービスプロバイダーと協力してプラットフォームの不適切な利用を検出・阻止します。

Libraネットワーク参加者との協力

Libraネットワークで事業を行う規制・認定VASPと指定ディーラーは、各自のコンプライアンスプログラムを維持し、Libra協会、その子会社、または厳選された第三者サービスプロバイダーによるリスク中心のデューデリジェンスの一環としてコンプライアンスプログラムの定期審査を受けます。FIU機能は、これらのネットワーク参加者との間で調整を行い、不正な可能性のあるアクティビティを検出・報告します。FIU機能は、適用法に従いながら、指定ディーラー、規制・認定VASP、他のネットワーク参加者と協力し、リスクの兆候やコンプライアンスに関する洞察(新しい類型の発見、高いリスクに関連したアドレス、構造)収集・共有します。

不審なアクティビティやプロトコルコンプライアンスコントロール回避の検出

FIU機能の重要な目標の1つは、不審なアクティビティを検出し、規制ジオブロッキングや取引およびアドレス残高の制限といったプロトコルコンプライアンスコントロールを回避しようとする動きを阻止することです。FIU機能は、ネットワーク分析技術を使用してLibraネットワーク上での不審なアクティビティを検出し、ブロックチェーンのモニタリング空間でサービスプロバイダーやテクノロジープロバイダーと提携します。

不審なアクティビティを検出したFIU機能は、適用法で規定されている許可または義務に従ってリスクの兆候をネットワーク参加者や関連当局と共有します。リスクと関連するアドレスは、政府当局が発行・取得する裁判所命令または行政命令に従って制限される場合もあります。

I. Libra協会は、不審である可能性または規制されている可能性を特定されたアクティビティに、報告などの手続き を通じて対応する

Libra協会のFIU機能によって不審である可能性または規制されている可能性のあるアクティビティが特定された場合、適用法に従って、その裏付けとなる証拠とLibraブロックチェーンのアドレスが、ブロックチェーンをモニタリングするサービスプロバイダーやネットワーク参加者と共有される場合があります。サービスプロバイダーがこれらの情報を各自のデータセットに組み込み、ネットワークの参加者や規制団体に伝達する見込みです。

FIU機能は、不正利用を阻止するために、設定された制限を回避しようとしている可能性のあるアンホステッドウォレットのLibraブロックチェーンアドレスを適用法に従った適切な範囲でVASPに通知します。

報告と法執行機関

Libra協会のFIU機能は、ネットワークを積極的にモニタリングし、指定ディーラー、規制・認定VASP、メンバー、その他のネットワーク参加者と共有したリスクの兆候を適切な範囲で利用します。不審である可能性または規制されている可能性のあるアクティビティが検出された場合、FIU機能は、適用法で規定されている許可または義務に従って該当する当局に適切な報告書を提出します。

Libra協会のFIU機能は、Libraネットワークの使用に関連して法執行機関から情報または支援を要請された場合、適用法で規定されている許可または義務に従った範囲で協力します。

セクション 06

オープンで競争的なネットワーク

Libraネットワークの安全性と公正性は、Libra協会の取り組みの最優先事項です。私たちは、より広くつながったグローバルな決済システムを公共財として構築し、促進しようというビジョンを掲げ、そのビジョンを共有する事業者や非営利団体と共に旅の出発点につきました。同時に、メンバーシップの更新や今後の参加規模の増大に備えて明確なパスを設定することがきわめて重要です。

私たちは、相互運用性の高い効率的で革新的な決済システムを構築するためには、競争が前提になると考えています。この目標を達成するために、最初のLibraホワイトペーパーの中でネットワークをいずれは非許可型のシステムに移行させる見込みであることを宣言しました。しかしその後、多数の管轄区域においてスイス金融市場監督局(FINMA)をはじめとする規制団体が懸念を表明しました。中でも主要なものは、ネットワークを非許可型に移行させた場合、例えばバリデータに対するデューデリジェンスが実施されなくなるため、Libra協会にとってネットワークのコンプライアンス規定が維持されることを保証するのが難しくなる、という懸念です。

ここで、新たな参加者に対して主なネットワークサービスの提供やLibraネットワークのガバナンスへの参加を可能にし、同時にLibra協会が規制上の要件を満たすには、どのようなアプローチを取るべきなのかを提示したいと思います。私たちが非許可型ネットワークの最も重要な目的に組み込むことを提案するのは、新規参加者に対して次のような項目を目指した競争を可能にすることです。

  1. 事業者や消費者に対する決済サービスと金融サービスの提供。
  2. 失敗のリスクから相互関連性を排除し、Libra合意プロトコルの安全性と信頼性を高めるために独立したバリデータノードを運営する機会。
  3. Libraプロジェクトのガバナンスと進化への積極的な参加。

Libraプロジェクトの発端でネットワークをオープンテクノロジーの標準に従って設計した時点で第1の目的が達成され、Libraプロトコルは、高い相互運用性を実現するために構築されています。第2、第3の目的には、新たに認定された協会メンバーに対して既存のメンバーとの競争を可能にする市場主導型プロセスが必要になります。次の節で、その仕組みの概要を見ていきましょう。

ネットワークのサービスとガバナンスに対し、オープンで透明で競争的な市場を作る

ネットワークサービスの供給とネットワークのガバナンスをオープンで透明で競争的なプロセスで実施するには、1) Libra協会のメンバーシップ基盤を拡張し、2) 長期にわたってその更新を保証することが鍵になります。どちらの段階においても、Libra協会は、公開募集基準を設定することで、選定プロセスを客観的で透明なものにし、ネットワークの成長や多様性、安全性、公正性といった重要な側面を選定に組み込みます。

1. メンバーシップの拡張: Libra協会は、新規メンバーを公開募集し、各回の募集人数を定義する予定です。応募者は、次のような項目を含めた申込書を提出します。

  • 応募者がコンプライアンスデューデリジェンスなどのメンバーシップ要件を満たしていることを示す基本的情報。
  • 応募者がバリデータノードを正しく運営できることを示す技術情報。
  • 応募者がLibraネットワークの成長に貢献する能力を持っていること、および取得できることを裏付ける経済パフォーマンス情報。
  • Libra協会の運営費とインセンティブを支える財政的貢献。

申込書に記載された情報は、透明なメンバー貢献スコア(MCS)の計算に使用され、このスコアによって応募者がランク付けされます。各回の公開募集が始まる前に、どのような項目を使ってMCSを計算するかが公表されます。MCSのようなスコアは、現在、配分メカニズム(入会プロセス、広告オークションなど)に広く利用されています。

2. メンバーシップの更新: Libra協会の目標は、新しいメンバーに対して入会や主なネットワークサービスの提供、ガバナンスへの貢献を可能にすると同時に、バリデータノードの運営や普及の促進の両面で実績を残している既存のメンバーに対して参加権の更新を可能にすることです。Libra協会は、客観的で無差別な基準に従う点はそのままに、MCSの計算や選定プロセスを誰にもわかる形で変更することで、新たなニーズに応えたり、継続性と変化のバランスを取ったりする可能性があります。これらの決定は、独占禁止法や競争の問題、規制によるコンプライアンス要件などを考慮したうえで、憲章の下で規定されたガバナンス手順に従って下されます。

Libra協会は、特別なメカニズムを用意して、あるメンバーがネットワークの公正性または安全性を害した場合にバリデータセットからそのメンバーを除外し、極端に重大な事例ではメンバーシップから除名することができます。バリデータセットからの除外は、メンバーの資格基準の重大違反や規制上の問題、刑事訴訟、ネットワークの健全性・公正性への干渉がきっかけになる場合もあります。Libra協会は、ネットワークのパフォーマンスが極度に低下した場合、またはガバナンスにおいてその他の重大な課題が生じた場合に、新規メンバーの不定期な公開募集を開始するプロセスも用意します。

セクション 07

Libra協会

私たちは、Libraのミッションを実現する最良の方法は、多様な、独立した協力団体を得ることだと考えています。これこそ、スイス・ジュネーブを本拠とする独立した会員組織、Libra協会とその完全子会社であるLibraネットワークの役割です。Libra協会は、評判の高い国際的機関を目指しています。協会の本拠としてスイスを選んだのは、スイスが金融イノベーションに対してオープンで、堅牢な金融規制に取り組み、歴史的に多数の国際組織の中心となってきた国だからです。

Libra協会の目的は、Libra決済システムの運営の促進、ネットワークの促進・開発・拡大に努める関係者間での調整、Libraリザーブの管理の監督、Libra決済システムにおけるサービスの提供が安全で適切な形で行われるように支援することです。

Libra協会は、協会評議会によって運営され、評議会は各メンバーの代表者1名によって構成されます。各評議会議員は、評議会が承認する各事項に対し、1票を投じることができます。評議員は協力してLibraネットワークとリザーブのガバナンスに関するポリシーを決定します。現在、メンバーは、全世界の事業者と非営利団体で構成されています。評議会は、その権限をLibra協会の理事会と経営陣に委任し、決定内容の実施を委ねることができます。重大なポリシー上の決定には評議会の3分の2の合意が必要です。これは、Libraビザンチン・フォールト・トレランス(LibraBTF)合意プロトコルで必要とされる圧倒的多数の条件にならうものです。

Libra協会を通じて、メンバーはネットワークの技術的ロードマップや開発目標に沿って足並みを揃えていきます。その意味で、Libra協会は、財団などの形をとってオープンソースプロジェクトを運営管理する他の非営利組織と同様の働きをします。2019年12月、協議会は技術運営委員会(TSC)を任命しました。この委員会は5つのメンバー組織の代表者で構成され、Libraネットワークの技術的な設計や開発を監督・調整します。Libraネットワークは、オープンソースコントリビューターが集まる分散型コミュニティを拡大することで進化するため、Libra協会の技術運営委員会は、コミュニティがどのプロトコルまたは仕様を開発・採用するかを決定できるような、また、Libra関連の貢献に取り組むすべての開発者をサポートできるようなプロセスを確立・監督する重要な役割を持ちます。

Libra協会の子会社であるLibraネットワークは、Libra決済システムの運営、Libraの鋳造と焼却、Libraリザーブの管理を担います。Libraネットワークは、スイス金融市場監督局(FINMA)に対し、決済システム運営者としてのライセンスの付与を申請中です。決済システムのライセンスを取得した場合、Libraネットワークは、FINMAによる継続的な健全性監督の対象となります。その結果、Libraリザーブの管理に関連する規則の変更や、新しいサービスラインの追加など、ライセンスに影響するような決定については、事前にFINMAの承認を得ることが必要になります。FINMAは、ライセンスを取得したLibraネットワークの直接的な監督に加え、Libra協会とその子会社についても連結ベースで監督します。Libraネットワークは、Libra単一通貨ステーブルコインの作成(鋳造)と破棄(焼却)ができる唯一の団体です。単一通貨ステーブルコインを鋳造するのは、指定ディーラーが、新しいコインを完全に裏付ける法定通貨の資産と引き換えにコインをLibraネットワークから購入した場合に限ります。単一通貨ステーブルコインを焼却するのは、指定ディーラーが該当する資産と引き換えにLibraコインをLibraネットワークに売却した場合に限ります。指定ディーラーは、単一通貨ステーブルコインを、該当する法定通貨の額面と等しい価格でLibraネットワークに売却する契約上の権利を有します。Libraネットワークのこれらの活動は、リザーブ運用ポリシーによって規定、制約され、このポリシーの変更はメンバーの圧倒的多数によってのみ変更可能です。単一通貨ステーブルコインに加え、Libraネットワークは、マルチ通貨の≋LBRをサポートします。この通貨は、単一通貨ステーブルコインを固定名目ウェート(≋USD 0.50、≋EUR 0.18、≋GBP 0.11など)に従って組み合わせたスマートコントラクトとして実現されます。

Libraネットワークは、Libraブロックチェーン上において安全かつ適切なサービスの提供を促進する役目も負います。この取り組みは、最高コンプライアンス責任者とファイナンシャルインテリジェンスユニット機能(FIU機能)がリーダーとなって管理します。その責務には、デューデリジェンスと継続的監視を実施することですべてのメンバー、指定ディーラー、さらにはカストディアルウォレットや両替商といった、Libraブロックチェーン上にアドレスを持つ仮想資産サービスプロバイダー(VASP)が公正に、合法に、法律に準拠した形で行動していることを確認すること、プロトコルレベルの規制コントロールの実施を管理すること、ポリシーに従い、必要に応じて実施されるプロトコルレベルの取引およびアドレス残高の制限を管理すること、Libraブロックチェーンにおけるトラベルルールの順守を促進、指導すること、Libraブロックチェーン上で活動を監視して、ネットワーク制限を回避しようとするなどの不審な行為を検出すること、規制団体や法執行機関と協力するため、不審な行為を報告し、適切に対応することが含まれます。これらの活動については、こちらに詳しい説明があります。

当面は、Libra協会に代わっていくつかの役割を果たす必要があります。新しいメンバーの募集、Libra決済システムの利用を促進するインセンティブプログラムの企画と実施、このようなインセンティブの分配、Libra協会の社会的事業への助成金提供プログラムの確立などです。

Libra協会の長期的な目標は、オープンなID標準を作成し、促進することです。私たちは、ファイナンシャルインクルージョンと競争の前提条件として、分散型でポータブルなデジタルIDが必要であると考えます。また、Libra協会は、ネットワークのサービスとガバナンスに対し、新しい参加者にとってのハードルが限りなく低くなるようなオープンで透明性の高い競争市場の構築を目指しています。

Libra協会について、詳しくはこちらをお読みください。

参加の方法

Libra協会は、Libraネットワークのグローバルな利用を促進するアプリやサービスの開発者のコミュニティを活性化させたいと考えます。Libra協会が定義する成功とは、世界中のあらゆる個人やビジネスが公正で手頃な方法で、かつ即座に自分の資金にアクセスできるようになることです。例えば、海外で働く人が祖国の家族に簡単に送金できる。大学生がコーヒーを買うのと同じくらい簡単に家賃を払える。これらを実現できたら成功と言えます。

私たちの旅は始まったばかりで、コミュニティからのサポートが必要になります。Libraネットワークが全世界の数億人の人びとに貢献できるとお考えなら、ぜひ参加して、意見をお聞かせください。あらゆる地域でファイナンシャルインクルージョンを実現するには、皆さんのフィードバックが必要です。

  • 研究者やプロトコル開発者の皆さんには、Apache 2.0オープンソースライセンスの下でLibraテストネットのプレビューが付属のドキュメントと共に提供されています。このテストネットは、開発中のプロトタイプですが、そのまま読み込んだり、ビルドしたり、フィードバックを提供したりできます。Libra協会は、コミュニティ指向の開発プロセスを構築し、開発者にプラットフォームを公開することをお約束します。Libra協会のTSCは、主任メンテナーとメンテナーグループを任命し、Libra改善提案(LIP)のためのオープンで透明性の高いプロセスを確立しました。これについては、近日中に発表があります。
  • Libra協会からの社会的事業への助成金の申請に興味をお持ちの組織の方は、こちらで詳細をご覧くだ さい。

セクション 8

次のステップ

初めてLibraプロジェクトを発表してからの9か月は、私たちにとって重要な期間でした。Libra協会は、世界中の 規制団体や中央銀行、選出議員、さまざまな関係者と有意義な議論を行い、容認された規制の枠組みにブロック チェーンをどのように組み合わせるかを検討しました。さらに、Libra協会は、ステーブルコインに関するG7作業グ ループに備えた話し合いに参加し、金融安定理事会(FSB)、世界銀行グループ、国際通貨基金(IMF)、国際決済銀行 (BIS)、米州開発銀行(IDB)、世界経済フォーラム(WEF)、全世界の中央銀行や財政当局など、国際的な関係者と建設 的な対話を持ちました。オープンソースのLibraブロックチェーンコードは、うれしいことに数千にのぼる開発者に 利用され、彼らの業績によりLibraテストネット上で数百万のテスト取引が実施されました。Libra協会は、理事会を 選任し、新しいメンバーを招き、強固で独立した運営ペースを確立しました。最も重要なのは、金融のイノベーション とインクルージョンに関する国際的な議論が加速したことです。

責任ある金融サービスのイノベーションの支えとなるような決済システムを運営するには、地域レベル、国レベル、そして国際レベルで主要な関係者が継続的に関与する必要があります。そのため、Libraネットワークは、スイス金融市場監督局(FINMA)に対し、決済システムのライセンスの付与を申請中です。私たちは、最新の金融システムに参加するハードルを下げることで、強固な規制基準のハードルが下がってはならないと考えています。

今後、Libra協会は、引き続き国際的に建設的な対話を進め、規制基準との調和や消費者保護のアプローチ、社会的に疎外されたコミュニティを含めるための決済範囲の拡大について、方法を探っていく予定です。Libra協会は、これからも金融システムのイノベーションを実現するための官民連携に取り組みます。実際、中央銀行デジタル通貨(CDBC)の構想が実現に至る見込みであることから、Libra決済システムを、これらの公共セクターのイノベーションに対応できるようにアップグレード可能な設計にするつもりです。

Libraブロックチェーン:

今後数か月の間に、Libra協会はコミュニティと協力してLibraブロックチェーンのテストネットに関するフィードバックを収集し、それをリリース可能な状態にします。具体的には、プロトコルのセキュリティ、パフォーマンス、スケーラビリティと実装を確実にすることに力を注ぎます。

  • 利用者がLibraブロックチェーンを利用できるように、しっかり文書化したAPIとライブラリを構築します。
  • Libra改善提案(LIP)のための手順を、コミュニティの参加と審査に対してオープンなものにし、Libraブロックチェーンをサポートするプロトコルやソフトウェアに重大な変更を加える場合は、それがコミュニティで議論され、審査されるようにします。
  • Libra協会は、オープンソースの手法を使い、Libraブロックチェーンの背後のテクノロジーを共同開発するためのフレームワークを用意します。
  • Libraブロックチェーンを詳細にテストします。プロトコルのテストから、ウォレットサービスや取引所などのエンティティと連携したネットワークのフルスケールテストの構築までを幅広く行い、システムが正常に機能していることをリリース前に確認します。
  • Move言語の開発とデプロイを促進し、開発者がMove言語に固有の安全措置を使って革新的な金融アプリケーションを開発できるようにします。そのためには、規制団体との協力を通じて、第三者によるスマートコントラクトの発行に適した安全措置を定義し、Moveにおけるイノベーションから利益を得るであろう他の金融プログラミング分野を探る必要があります。

Libraリザーブ:

  • 地理的に分散し、調整された管理者からなるLibraリザーブのグローバル管理機関とカストディ契約を結びます。
  • Libraリザーブが指定ディーラーと取引し、高い透明性と可監査性を保証するための運用手順を確立します。
  • 規制団体と協力して、≋LBRを構成する単一通貨ステーブルコインを固定ウェートで最適に組み合わせられるようなフレームワークを確立します。

Libra協会:

  • 私たちは、オープンで透明性の高い、競争的なプロセスを通じてLibra協会評議会を発展させ、メンバーの地理的な分散と多様性をさらに高めることに努めます。
  • Libra協会は、ガバナンスメカニズムの開発を続け、憲章の下に規定された主要なポリシーを実行します。
  • Libra協会のマネージングディレクター/CEOは、今後採用され、経営陣チームを構築します。
  • Libra協会は、ネットワーク全体の経済的健全性をサポート、管理するためのファイナンシャルインテリジェンスユニット機能(FIU機能)を確立します。FIU機能は、卓越性を促進するベストプラクティスと技術の中心となり、ブロックチェーンを利用した決済システムの安全な運営を可能にします。
  • Libra協会は、共同でミッションに取り組む社会的事業パートナーを特定し、協力して社会的事業の諮問機関とプログラムを設立します。

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まとめ

Libra協会のミッションは、多くの人びとに力を与える、シンプルでグローバルな決済システムと金融インフラを実現することです。十分な銀行サービスを受けられない人が全世界で17億を超える状況では、ファイナンシャルインクルージョンやコンプライアンス、競争を促進する大規模なイノベーションこそ、最も必要としている人の助けになるはずです。

最初のLibraホワイトペーパーを2019年6月18日に発表して以降、Libra協会は、政策立案者や規制団体、他の関係者からのフィードバックを取り入れることでプロジェクトの設計を大幅に改善することができました。私たちは、これらの変更により、Libra協会の最終的な目標である決済インフラの刷新、および低コストで相互運用が可能な、ポリシーに準拠した価値のためのコアトランスポート層の作成が達成可能になることを願っています。

この、世界にとってのチャンスを定義する過程に、たくさんの組織や個人が関与し、力を注いでくださっていることに感謝いたします。私たちは、これからもこのミッションに全力を傾け、その実現に着手することを熱望しています。

  • 1 Best Buy.“AT&T prepaid Alcatel CAMEOX device purchase.” Bestbuy.com. Available: https://www.bestbuy.com/site/at-t-prepaid-alcatel-cameox-4g-lte-with-16gb-
    memory-cell-phone-arctic-white/6008102.p?skuId=6008102 (Accessed: May 15, 2019).

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    Libra協会が今後行うこと、または行わないことについての現時点での理解が、何らかの出来事や状況が発生した場合や、Libra協会メンバーがLibra協会のポリシー策定を進める中において、変化することはないと当協会が表明または保証することはできません。当協会は、この文書の正確さを保証するために必要に応じてこの文書に含まれる情報を補足する権利を留保します。

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